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<『恋はお菓子より甘くない』>
「………なぁ」
「ん?どした?んな真面目な顔して」
マサゴのベルリッツ邸にやって来ていたコランは、幼なじみのピアキと一緒に話をしていた。
最初はただの普通の雑談だったのだが、途中からコランの表情が変わり、周りはかなり真剣なオーラに包まれていた。
「おいおい、コランがここまで真剣な顔するとか珍しいな。何かあったか?」
関心を通り越して、やや心配の眼差しを向けるピアキに対し、コランの表情はさらに真剣さを増す。
「…………ピアキ」
「あ?何だよ」
キョトンとした表情しか見せないピアキの顔を覗き込み何かを言おうとするコラン。だが、それから何も言えず、そのまま首をガクリと動かす。
その様子にピアキもさすがに不信感を抱き、コランに対し何とも言えないような視線を送り始める。
「………何だ?言いたい事があったら言ってみろよ」
その一言から、そのまま重い沈黙が続く。
暫くして、ようやくコランが先に立ち上がり、大きく背伸びをする。そして、ちらりとピアキの方を見る。
「な……何でもねぇよ。別に今言わなきゃならない事でもないしな」
「なんだそりゃ?何か面白い事でも言うのかと期待した俺が馬鹿だったぜ」
ピアキの反応に対し、さりげなくコランは思った。
(今はまだ言えねぇよ。でも………いつか絶対、……言うからな…………?)
しかし、彼がこの場で言わなかった事彼女に話すのは……まだまだ、かなり先の話である。
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