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<鈍感>
「いきなりこんな事言うのも何だけど………レッドって、重度の鈍感体質よね」
マサラの研究所にて集まっていた四人の図鑑所有者の一人、ブルーが発した一言に対し、レッドの目は点になり、表情は唖然とさせる。
が、グリーンとイエローは、ブルーの発言に納得の表情を見せている。
「だな。レッドの鈍感さは異常だ」
「でしょ?この間、それで私の所に相談に来たしね。ねぇ、イエロー?」
ブルーの問いにイエローは、コクコクと数回頷いてみせる。
「そうなんです。もうどうしたら良いのか分からなくなって、ブルーさんに相談したんです」
「ってちょっと待てイエロー」
ここでようやく、硬直していたレッドが話の輪に加わってきた。
しかしこの時三人は内心で、『そういえば本人いたな』と思っていたのは、思われている本人は知らない。
「それっていつの話だ?てか俺お前に何を」
さらに言い募ろうとするレッドを右手で制し、イエローは少々にこやかな笑顔で答える。
「大丈夫です、もう気にしていませんよ?それに、過ぎ去った時間はもう戻ってきませんからね」
「そ、そうか……?」
レッドの問いに「はい」と先程よりもにこやかな笑顔で答えるイエローだが、内心決して穏やかな状態ではない事が、さすがにレッドでも分かった。
そして、暫く二人のやり取りを見ていたブルーがちらりとレッドを見る。
が、その視線はどこか刺々しさを感じる。
それに気付いたレッドは、軽く身震いをする。
「な、何だ?」
「……このままじゃ、イエローが不憫だわ」
「は?」
言っている事が理解出来ず、レッドは首を傾げる。すると、それまで黙っていたグリーンも口を開いた。
「確かに、このまま野放しにしておくわけにはいかないな」
「でしょ?」
「ちょっと待てよお前等!いったい勝手に何の話を、!!?」
話している最中、無理矢理ブルーに口を手で塞がれ、さらにグリーンにより身動きが取れない状態にレッドは追い込まれる。
「大丈夫。今からその鈍感を治すだけだから♪でも………」
発言も表情も黒く染まっているブルーは、さらに表情を黒く染める。
「ちょっと手荒いから我慢してね?」
「っ!っっ……っーー!!(ちょっ!何言って……うわぁーー!!)」
この後、ブルーがレッドに何をしたのか……。
それは、その場にいた人間しか知らない。
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