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<『雨の日の最良の過ごし方とは……(前編)』>
雨の日の最良過ごし方って知ってるか?
本や漫画を読む?ゲームをする?そんな在り来りな過ごし方じゃダメだぞ?
え?俺の過ごし方は何かって?俺流の過ごし方はなぁ……。
-時刻:朝-
「……………暇だな」
今日、この朝という一番清々しさを感じられる時間から勢いよく雨が降っていて、それは俺をかなり憂鬱にさせていた。
それが今日だけであるというならまだ俺はここまで憂鬱にはならない。……この鬱陶しい雨粒は日に日に強さを増しながら降り続けている。そのせいで、俺の憂鬱さは最高潮に達していたのだ。
そんな事を考えながら窓から外を見ていると、後ろから俺の呟きに応える二つの声が聞こえてきた。
「お前が暇な時などいくらでもあるだろうに」
「そうそう。ゴールドが忙しい時とかないんじゃないの?」
「………お前等喧嘩売ってんのか?売ってるなら遠慮なく買うぞ、この野郎」
声の主は、シルバーとクリスの二人だった。
ちなみに今俺達三人は、オーキドのじいさんに呼ばれ、ジョウトの第二研究所にいた。
何故呼ばれたのか理由は詳しくは分からないが、クリス曰く、一度俺達の図鑑の状態を見たいからだとかないとか。そんな理由なのだという。
「そういうわけでもないわよ。オーキド博士を待っている間、確かに暇じゃないとは言い切れないし……」
「んだよクリスだって何だかんだで暇してんじゃねぇかよ!」
「そういう意味じゃないわよ!もう、私の場合とゴールドの場合じゃ天地の差なのよ!そこら辺自覚しなさいよね!?」
「んだと!この」
「お前等いい加減にしろ。一応研究所の中だ。喧嘩するなら静かにやれ」
段々熱くなっていく俺達の口喧嘩をシルバーが冷静なツッコミで抑えてきた。
そんなシルバーの言葉で熱が冷めたクリスは静かになったが、俺の心の中はどこか穏やかじゃなかった。
そのまま沈黙が続き、三人とも一言も言葉を発する事がなかった。
シルバーは研究所内にあった「進化について」の資料を軽く読み、クリスはじいさんに頼まれた資料の整理をしていた。
一方俺は先程と変わらず窓から外を見たまま。
今日の朝の風景は、このようにどこか冷めた風景だった。
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