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笑顔とありがとう
今日も願っていた
叶わないと諦めれば
らくになれるかもしれないのに……
でも
どっかで笑える日がくると信じていた
だから諦めずに願っていた
そして
その時がやってきたんだ
これはずっと変わらない
この町に迷いこんできた人間を殺すことだけは
でも
今日は違った
「この町黒くてキモチワルイな」
その男の子は言った
私はいつものように殺そうとした
でも
「でも夏は日陰で涼しくてよさそうだなぁ➰」
私は手を止めた
確かに聞こえた
この町をほめてくれた言葉を……
「キミはこの町の人? 他に人は居ないの?」
男の子は聞いてきた
「うん。この町は私一人だけ」
私は答えた
「そうなんだぁ。でもどうして他に誰も居ないの?」
私は迷った
でも
本当の事を言った
「この町に迷いこんでくる人間は何人もいた。でもその人間達はこの町をキモチワルイと言った。そしてこの町に住んでる私にバケモノと言って石を投げた。だから私はその人間達を殺した。だからこの町には私だけなの」
私は返事次第でこの男の子を殺そうと思っていた
「ひどいな。この町はただ黒いだけなのにな。キミだってこの町が好きだからこの町にいる。ただそれだけなのに。バケモノだなんて」
そう言って男の子は泣いた
私もいつのまにか泣いていた
やっと気付いてくれた
この町の事を…
私の事を…
「ありがとう…。この町をみつけてくれて。私をみつけてくれて」
私は笑っていた
うれしいと心から感じていた
願っていてよかった
諦めないでよかった…
「みつけた? ん~? よくわかんないけどキミ笑ってるほうがずっといいぜ」
男の子は笑って言ってくれた
「ありがとう。本当にありがとう。でも…ごめんね」
私は笑顔から悲しい顔になった
「えっ? どうしてあやま……」
男の子がしゃべり終わるまえに私は男の子の記憶を消した
「あれ?なんで俺ここにいるんだ?わけわかんねぇ…」
そう言って男の子は歩いていった
「ごめんなさい…。 みつけてくれてありがとう」
私は涙をながしていた
でも
心から溢れた笑顔で笑っていた
そして少女は黒い空へと消えていった…
一粒の滴が落ちていった……
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