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それからしばらく外を眺めながら過ごしていると、病室の扉が開いた。
「やあ、颯斗君。目が覚めたんだね」
入ってきたのは吉田さんだった。
「はい、ついさっき。すいません。ご迷惑おかけして……」
俺が横になったまま、謝ると吉田さんは微笑んで首を振った。
「何を言ってるだ。謝ることなんてないよ。立派に仕事をやり終え、こうして生きている。それで十分だよ。それで体のほうは大丈夫かい?」
「ええ、大丈夫です。ただ、腹筋貫かれたのに無理やり体動かしたのが原因で体に反動がきてるみたいで、体全体が筋肉痛みたいになってますけど、問題ないです」
おそらく体の痛みはそれが原因だろう。あの時はそんなことを気にする余裕はなかったから、仕方ないけどな。
「そういえば、さっき柊には聞きそびれたんですが俺の傷は誰が塞いだんですか?椿さんですか?」
俺が尋ねると吉田さんは困ったような表情で頷いた。
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