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こうして学校初日が終了した。
帰りは姉と帰った。
結局クラスの人と一言も話さなかったな。
先が少し不安になってしまった。
そう思いつつ別のことも思っていた、今日体育館で起こった奇妙なトラブル、これはただの故障と思えばそれで終わりなのだが、何か引っ掛かった。
それに、あの先生は結局戻らなかった、気分が優れないから帰ってしまったのかな。
なんかもやもやした。
考え過ぎなのだろうか。
「コウ、初日からそんな顔してたら、友達出来ないよ」
言われてしまった。
家に着くと、既に妹が帰って来ていた。
「お帰りーお兄ちゃん、学校どうだった?」
「ただいま、いや、普通かな」
普通と言う言葉をよく使っていた。結構、便利な言葉だ。
俺の両親は離婚していた、俺と姉妹は父親に引き取られ生活していた。 父親は帰りが遅い事が多いので母親的な役割は姉が担っていた。
「晩御飯作るから待ってて」
姉はそう言うとキッチンへ向かった。
俺はと言うと、何故か異様に疲れていたので、部屋に戻りベッドに転がり込んでいた。
友達が出来るといいな、そう思いつつ、だんだんと目蓋が重くなってきて、そのまま眠りに落ちてしまった。
「ご飯できたよー」
姉の声に目を覚ました俺は重い頭を振りつつ、食卓に向かった。
賑わいを見せる食卓の外には、満月が輝きを放ち、この街を照らす、やがて、光輝く建物の明かりは、ぽつりぽつりと消えていく。
夜更けの街は異様な静けさを孕んでいた、この街に月の光はただ静かに照らし続けていた。
翌日の新聞にこう書かれていた。
男性教師行方不明と。
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