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俺はあの後、明石雪と一緒に帰ることなく、姉は生徒会があるらしく、先に帰っててと言われたので、言われた通り一人で帰った。なんと言うか、俺は姉にべったりな気がする。俺は案外シスコンなのかもしれないな…
家に着いて、戸を開けると妹がタイミングを図ったかの様に玄関前に立っていた。
「お帰り~お兄ちゃん」
何時も、俺の帰りを満面の笑みで迎えてくれる千恵が俺の心を温かい気持ちにさせてくれた。
今日あったことなど、どこかに流れてしまったかの様にその時だけは忘れてしまえた。
「ただいま、千恵(ちえ)」
しかし、自分の部屋に戻ると、やはり、今日あった明石雪との会話が甦(よみがえ)る。先生は悪魔に連れて行かれた、私は一人で戦うと…内容が内容だけに半信半疑(はんしんはんぎ)だった。
だけど、明日に明石雪と体育館で待ち合わせをしている、きっと、そこで話してくれる。そう考えていた俺の脳裏に、ふっと、別の考えが浮かんだ、まさか、騙しているのではないかという考えだ、俺を体育館に呼び出しそれを見て他の明石雪の仲間達が出てきて俺を中傷する……
いや、考え過ぎだ、明日には分かることだ。俺はそう思いながらベットに転がりそのまま眠りに落ちてしまった。
突然、バッと反射的に起き上がった、しかし、それとは別に何か違和感を感じた。
ああ、そうだ。
いつもなら、姉が起こしてくれる筈だ。
時計を確認すると、既に11時を回っていた。直ぐ様、姉の部屋に向かった、ドアを開けて確認したが、姉の姿はそこにはなかった。俺の慌ただしく動き回る音に目を覚ましたのか妹がいつの間にか起きてきた。
「お姉ちゃんまだ帰ってないの?」
「千恵、晩御飯はどうした?」
「レンジでチンして食べたよ、ねぇ、お姉ちゃんまだ帰ってないの?」
「ああ、知恵は寝ててくれ、お兄ちゃんが何とかするから」
「分かった、お父さんは?」
「今日から出張で1週間は帰って来ないよ」
「ふーん、じゃあ、お兄ちゃん、おやすみなさい」
「おやすみ」
会話も半分上の空だった、何か酷い胸騒ぎを覚えた、いや、きっと、何かあったに違いない。俺は携帯電話で姉に電話した。
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