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「お兄ちゃん、ハッピーターン食べる?」
「ちょ、そんな妹が粉だけ舐めとったハッピーターンとか要らないから。
もうどこもハッピーじゃないから。」
「だってハッピーターンの粉って凄く美味しいんだもん。とっても幸せな気分になっちゃうよね。
お兄ちゃんも幸せな気分になるでしょ?」
「いやいや、その幸せな気分になる粉は全部妹が舐めてるでしょ。」
「お兄ちゃんは妹のレロレロしたハッピーターンが大好きだから心配ないのだー!」
「それじゃまるで僕が妹のレロレロしたハッピーターンで興奮するような変態みたいじゃないか。」
「へっへっへー。でも私は知ってるのです。
お兄ちゃんは何だかんだ言っていつも食べてくれるんだよ。」
「へいへい。」
僕はそう言って湿気っていて味のないハッピーターンを口に運ぶ。
堅いとも柔らかいとも言えない奇妙な食感にはもう慣れた。
そんな僕を妹は嬉しそうに眺めている。
「お兄ちゃん。」
「何だよ。」
「大好き。」
「ばーか。」
「えへへ。」
他愛もない事だけど僕はこんな些細な日常にさささか……
ささやかな幸せを感じている。
妹「あ!
お兄ちゃん顔ニヤけてるよ。」
「うるせっ」
──これはとある小さなお菓子がくれた、小さな小さな幸せの一時のお話。
ー おしまい ー
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