665人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
虎千代
1530
応仁の乱から
この乱戦が起き始めて
80年余りの時が経っち
血気盛んな武将たちが天下穫りに夢中になっていた頃
【越後・春日山城】
眩しい光が射す部屋に
仏に手を合わせる女性が居た。
「虎御前様。そろそろ横になられては?」
「大丈夫です。」
「今や虎御前様だけの御身体ではござらぬ故…」
虎御前は合わせた手をゆっくり下ろすと
お腹に手をそっと置いた。
『やや子様。
この乱世に産み行く母を…
どうか御許し下さいませ。
そして。
三条長尾家の行く末を…
どうか…』
‐春日山城‐
生まれは京の春日大社。
新潟への分岐神社である。
正確には
【春日神社山上城】
かすがじんじゃさんじょうしろ
と呼ぶのが相応しい名。
(現林泉寺住職話)
最初のコメントを投稿しよう!