虎千代

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虎千代

1530   応仁の乱から この乱戦が起き始めて 80年余りの時が経っち   血気盛んな武将たちが天下穫りに夢中になっていた頃     【越後・春日山城】   眩しい光が射す部屋に 仏に手を合わせる女性が居た。     「虎御前様。そろそろ横になられては?」   「大丈夫です。」     「今や虎御前様だけの御身体ではござらぬ故…」   虎御前は合わせた手をゆっくり下ろすと お腹に手をそっと置いた。 『やや子様。  この乱世に産み行く母を…    どうか御許し下さいませ。    そして。    三条長尾家の行く末を…         どうか…』       ‐春日山城‐ 生まれは京の春日大社。 新潟への分岐神社である。 正確には 【春日神社山上城】 かすがじんじゃさんじょうしろ と呼ぶのが相応しい名。 (現林泉寺住職話)
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