林泉寺の六代目

6/11
前へ
/330ページ
次へ
  虎千代が寝静まった頃 お師匠はロウの灯りすら点けず、考え事をしていた。   『長尾家当主・晴景…  噂に知れる貧弱でヘタレ。  そんな主が領土を守れようか… いつ謀反が起きても可笑しくない… 戦のいの字も知らぬ虎千代が後を継ぐ? 阿呆にも程がある…   虎千代はまだ若い。 若さ故、恐ろしい…      危ういのだ。   仏様…いや…     多聞天様。 どうか虎千代を御守り下され。』        ‐ 多聞天 ‐   戦国を知る人なら聞いた事が有る 【毘沙門天】である。   かつて四天王と言われた仏教の神様。   多聞天は【戦・争いに勝つ神】として天皇に納まっている。   日本への由来名は 多聞天から毘沙門天と伝わった。   仏教の習わしで 多聞天が [子を1人出家すれば一家安泰。災いは起きぬ。]   と名言を言った説がある。   それを一番最初にやってのけたのが 美濃の国(岐阜県) 主・斎藤利政(斎藤道三) である。
/330ページ

最初のコメントを投稿しよう!

665人が本棚に入れています
本棚に追加