虎千代

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  天文5年   為景は 隠居し(紋家を辞める行為。 何時の理由で長尾為景は長尾家を捨て浪人となる事を決め 後継ぎを探した上で長尾家を去る事。の意。 ※歳の為、当主の座を降りる事でも使われる。)  お花の兄の晴景が家督を継いだ。   それと同時期。 父、為景は母へ一通の手紙を書いた。   [我が子にせよ、戦に使えぬ子は長尾家の恥に在らず] 母は女を産んだ自分を悔やんだ。 「いいかい?お花。 城下に林泉寺と言うお寺が有るの。 お花は頭が賢いゆえお寺でお勉強しなさい。」   母上は父、為景にお花を極力遠ざける事を決意する。     「いくぅ~」     お花は満面の笑みで返すと 母上は口を開いた。     「一つだけお花にお願いが有ります。 …お花が女子である事を隠さなければお寺へ入れてくれません …困った事です。 頭の毛を剃る事になりますが我慢出来ますか?」   「ん?坊主にするだけでお寺に行けるんでしょ?」     母上は酷く驚いた。
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