野球少女

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その後30分くらいバットをお互いアドバイスをしながら振り、満足のいく自主トレができたと思う。 お互い、とはよく言ったもので、そのほとんどが吉川さんからのアドバイスだったのは、本当に情けない限りだった。 この短い時間で、というよりはこのたった一日で、吉川さんが今朝言っていたあの言葉に全く心配は要らないということが、よくわかった。 心配なんて、そんな言葉もおこがましい。 彼女は我が校の強豪女子野球部でも、すでにトップクラスの実力だ。 今までいい試合をしていた紅白戦も、もううまくはいかないだろう。 それに、吉川さんに打撃のセンスもあるということがわかってしまった時点で、もう俺はこの子に実力では負けていることは確かだ。 本当に、この学校にはとんでもない選手が寄ってくる。 三神にしろ、そうだ。あいつだって、只者じゃあない。女子野球部の4番と、男子野球部の4番には、はっきり言って常人を超えた野球センスがある。 超高校級。 その言葉が似合うのはあいつら二人だけだと思っていた。 けど、ここに、もう一人。それどころか、きっと知らないだけでまだいるだろう。 去年の夏、俺たちがいいとこまで試合できたのは、三神をはじめとする打撃陣の活躍が大きい。 俺は、何もしてない。 もうあいつらに任せきりはごめんだ! 吉川さんは去り際、俺とさっそく約束をしてくれた。 そういう思いがあることは、言ってはいないけど。 俺のコーチをしてくれるって、そう言ってくれた。 だから、俺、やっとエースとして野球部に貢献できるかもしれない。 砂山東のエースに。きっとなるから。 吉川さん、協力してね?
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