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安達涼(アダチリョウ)
左投げ左打ち
ピッチャー
三神、健と2年連続同クラスの高校2年生。
うちと同じくらいの背に、いたってノーマルな雰囲気かつノーマルな顔。
あ、でも、笑った顔は、あいつ、いい顔するよね。
でも、三神のさわやかでかっこいい、とか、健の可愛いところとか、そういう特徴っていうのはあまりない。
高校生活も、案外ひっそりとうまくやってる、って印象。
でも、うちが知っているなかで、ひとつ特徴的なことがある。
中学時代はなぜか野球をしていなかった、ということ。
だから、高校球児としては普通。でも、本当、変化球は悔しいけど曲がる。
バッティングは…まあまあ、あたれば飛ぶ。
ただし、めったにあたらない、かな。
と、ざっくばらんに説明してくれた高橋の受話器ごしに聞こえる声は、どこか彼を小馬鹿にしたような声色だった。
「こんなもんでしょ、安達は」
高橋が吉川と話すのは安達についてだった。
さっそく電話番号を交換しているあたり、すっかり仲よくなりそうな二人だった。
「ありがと、でもやけに詳しいね?」
ふふっと笑うと、吉川は小学生時代の写真立てや、この間もらった教科書を見ながら、机の上の硬球を手で弄った。
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