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「まぁ、一年ずっとラーメン食べてもらってますから……。でもどうしたの? もしかして、安達のこと――」
ひきつりながら理由を話す高橋はどこか不本意そうだった。
その後、高橋はゆっくりと探りをいれるように気を使って話す。
「そう! 知りたかったの!」
しかし、カウンターの椅子からずり落ちる高橋。
的外れだったのがわかり、微妙に恥ずかしさが高橋を襲う。
「あ、いや、そうじゃなくて……。まあいいか! なんか気になることあったの?」
「うん、さおは安達君は普通の投手だって言ったけど、もしかしたら――」
言いかけた吉川はきょろきょろと部屋を見回した。
別段、誰かがいるわけではなかったが。
高橋は聞き返して返答を待つ。
「もしかしたら?」
「びっくりするよ。本当に!」
内容は言わず、吉川は嬉しそうに話した。
うちがみても亜澄は投手として別格だった。
その亜澄が言うんだから間違いない?
高橋は吉川の思考をベースに頭を働かせてみた。
う~ん、今の安達をみてる限りはなぁ。
口ばっかりで、チームのエースとしてはちょっと頼りないし。
と、いった具合に特に検討はつかなかった。
まあスピードは悔しいけど130㎞/h台でてるかな。
去年の夏大で体力不足で負けてから、体力トレを増やしてるって健から聞いたけど…。
少しそれらしき条件を察したものの、それだけで、決定的なものはなかった。
吉川が安達に感じた何かは、高橋にはわからなかった。
亜澄は安達に、何をみたの?
そう思っているしか、彼女が答えを言うのを待つしか、高橋にはできなかった。
ま、でもいっか。新作メニュー考えなきゃ、フフ!
悩み事は持ち込まない主義、高橋の夜は長い。
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