兄妹…

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日付変わって、朝。 今日の練習は監督の都合もあり午後からだった。 普段早起きする癖がついてるため、この日の朝も例外なく早かった。 部屋から差し込む太陽に起こされ、布団からでる。 やけに日差しが目にしみるのを感じて外をみれば、雲ひとつない今日は絶好の野球日和だ。 リビングにあくびをしながら足を運ぶ。 すでに活動をしている母の朝はそうとう早いな、うん。 「母さん! 朝メシっ!」 掃除機をぐいぐいかけて、家中を歩き回る母さん。 「何いってんの! もうすぐ10時だよ」 「フッ…時計が一桁ならまだ朝っしょ?」 どや顔をかます俺。 全くもって俺の朝は早くなかった。 「はいはい。早めの昼用意するから、さっさとグローブ手入れしときなさい!」 「イェーイ」 いわれるまでもそうする日課。 俺は一応着替え、ベランダにでてグローブの手入れ器具を出した。 油をぬり、型を整える。 バシッ バシッとボールは気持ちのいい音を響かせながらグラブにおさまる。 「いい感じだ」 ニヤニヤしながらバシッ バシッと何度も叩きつけてるうちに、つい力が入って思っている以上に音が響き渡った。 すると、とんとん、と壁を叩く音が耳に入る。 ん? 何の音? どこからだ?
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