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初めてあいつに逢った時のことは今でも鮮明に覚えてる。
茜色に染まる空の下、この世の終わりみたいな悲哀に満ちた顔で立ち尽くしてた。
その視線の先には、甘い雰囲気で仲良く肩を並べて下校する二人の姿。
すぐにピンときたよ。
片方があいつが惚れてる相手なんだってことに。
失恋の痛みなんて一生わかりそうもない俺だけど、あいつの表情があまりにも切なくて。
夕闇に照らされて立ち尽くしたあいつを見て、胸がぎゅって締め付けられるみたいな気分になった。
──だから思わず声をかけたんだ。
あいつは初対面の俺を見て思いっきりウザそうに顔しかめてたっけな。
あの日が俺達の始まり。
──恋なんて一生出来ないって思ってた俺の、恋の幕開け。
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