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「なぁ涼介~ッ!聞こえてンだろ~?!」
俺と目が合った瞬間、ぶんぶん手を振りながらまたしても大声で呼びつけやがるもんだから、教室中の視線が俺と奴の間を行ったり来たり。
ったく……目立ってしょうがないつーの。
俺は授業中だけ掛けている黒淵眼鏡を外し、大翔に背中を押されて渋々ながら歩きだした。
「涼介~腹減った~!飯行かねェ?」
こんがりと日焼けした小麦色の肌、明るすぎる髪色に盛りに盛った髪型、人工的なブルーのカラコン、付けすぎのアクセサリー……
見た目からして気に入らないこの馬鹿は、一個下の学年の問題児。
ある日偶然出会ってからというもの、なぜだか懐かれてしまったのが不幸の始まり。
毎日こうやって何かしら理由をつけてしつこく俺に会いに来る。
迷惑以外の何物でもないから邪険にしてるのに、へこたれる様子はなし。
ストーカーかよ、まじで。
「……行かない。早く教室戻れよ」
今日も今日とて来やがった迷惑な来訪者をシッシッと追い返そうとするものの、
「やだ。相変わらず冷てェな~。涼介に会うために学校来たのに」
「黙れ。ほら、早く戻らないと授業遅れるぞ」
「ぇ~!俺、腹減ったもん」
腹が減ったからってなぜ俺のとこに来る。
お前に餌付けしてやる義理はねぇ。
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