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「帰れ!」
「やだ!飯!」
「飯なら昼休みに食え!」
「やだ!涼介と一緒なら考えるけど~」
……しつこい!
何度言ったところでこいつはきっと諦めない。
なら、終わりのない押し問答をするよりも程よく妥協した方が賢いってもんだ。
「……サボるのは勘弁。じゃあ、昼休み付き合ってやるからそれまで我慢しろ」
「ぇ……まじで?!」
深々と溜息をついた俺とは真逆で、悠の表情はぱあっと輝くような笑顔に変わる。
ここまで露骨に感情をあらわにする奴ってのも珍しいよなぁ。
こうも手放しで喜ばれると何か照れ臭い。
「俺弁当だし学食は無理だけど。昼休みなったらお前のクラス迎えいくわ」
「さんきゅッ!待ってる!」
ニカーッと八重歯をこぼしながら、悠は嬉しそうに帰っていった。
そりゃーもうスキップしそうな勢いで。
あんだけ飯飯うるさかったのに、意外にすんなりなんだな……。
なんで俺はあんなのに好かれてんだろう?
成り行きとはいえ一緒に昼飯食うことになったのは面倒だ。
俺って奴は……甘いなぁ……。
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