アラフォーでの再会

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締め切りに間に合わせ、原稿を出版社に持って行った 『りんこさんから持ってくるなんて珍しいですね』と担当の山崎君が笑った 『運動がてらにね。ついでに髪切ろうかなと思って』 『え、その見事なスパイラル、やめちゃうんですか?』 『飽きちゃった。もう5年はこのスタイルなんだもん』 『潔いですね~』 私は笑いながらビルを後にした いつもの美容室に電話をかけて時間をあけてもらった その間に私は美容室の近くのスーパーで買い物をした 大好きなブルーチーズとワイン、ハム、野菜を買う その時カートがぶつかった。『ごめんなさい』と私は慌てて謝った 『いえ、こちらこそすみません。ぼんやりしてたものですから』 長身で黒髪の女性は苦笑いしながら謝った あ…かたえくぼ…バンビのような瞳、優しい口元… 富貴子だ 『あの…間違ってたらごめんなさい。あなた鈴子…?』と彼女は聞いてきた 『いえ、違います。人ちがい』私は笑ってレジで会計した そして早足で美容室にたどり着いた
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