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『りんこさん、今日はセットですか?』
『思いきりカット!ベリーショートにしてほしいの』
『勿体ないなあ…』
『今は夏に向けてすっきりしたいのよ。伸びてきたらまた考えるわ』
椅子のまわりは私の髪でうめつくされた
出来上がりは上々!
『シャンプー楽になりますね』
『ホントだわ。これで明日の朝散歩しよう!』
私は預かってもらった買い物袋を貰うと店を出た
外は少し薄暗くなっていた
『鈴子…だよね。なんで違うっていうの?』
振り向くと富貴子がいた
『ごめん…私達って再会して喜ぶ別れ方してないし…富貴子に悪いかなと思って…』
私はしょんぼり俯いた
『私だって…あのね、これ私の住所と携帯番号…気がむいたら…』
私はメモを受け取ると、富貴子に名刺を渡した
『これ私のメアドと携帯番号…』
『卓也君元気?』
『一人暮らしのサラリーマン』と私は笑った
『そう、よかった』
『じゃあ私帰るね』と富貴子に手をふり、停まっていたタクシーに乗り込んだ
なんだかお互いに気まずい再会であった
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