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富貴子は元気がなかった
結婚はしているらしく、左手の薬指にはリングが光っていた
私はサラダを作りながらいろいろ思い出していた
なんであんな裏切りしたり、別れ方したのかな…
今思えば塚本先輩はどうでもよかったような気がする。私はただ優しくしてくれる男が欲しかっただけなんだ
幸せだった富貴子から、小さな幸せを奪いたかっただけなんだ
その時自宅の電話が鳴った
『もしもし?』
『俺、卓也。ご飯食べたの?』
『まだよ、これから。今作ってるの』
『なんだ、じゃあ俺もマンションいくよ。スーパーでオードブル安くて買い過ぎた』
『いらっしゃいよ。びっくりするわよ』
『何かあったの?恋人きてるとか?』
『そんなんじゃないの!すぐ来て』と私は電話を切った
卓也も私には結婚望んでるんだ…
おじいちゃんやおばあちゃんも死ぬまでそういってたな…
うちの小さな仏壇にはお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんが入ってる
私は七瀬と言う苗字を捨て、安部鈴子になった。お母さん方の姓である
お父さんの位牌は、お父さんの兄弟がみている
私はあの人を絶対許さない!
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