1363人が本棚に入れています
本棚に追加
陸は棚から自分と恵のバッグを下ろす。
「ありがとう」恵はお礼を言って手を伸ばした。
「持つよ」陸は微笑む。
「いいよっ」恵はびっくりしながらバッグを取ろうとするが、陸は軽々と持ち上げ恵の手から届かない所まで離した。
「大丈夫」陸は優しく微笑む。
「僕のはっ」田畑が口を尖らせた。
陸はバッグを三つ持って電車を降りる。
「どうして皆、アイドルの事知ってたのかな…」改札口に向かって歩きながら恵は腑に落ちない顔で呟いた。
「そりゃあ恵が可愛いから男の子達は話をするでしょ」隣を歩くさくらが笑って答える。
「嘘っ」
「私達だって人気のある男の子の話をしていたでしょう。同じように男の子達だってするよ」
「そうじゃなくって、さくらならともかく私は可愛くないよ」
「恵ちゃんは可愛いよ」さくらの反対側にいる陸が言う。
「!!」
「それに社長だって、きっと恵ちゃんの事が可愛くて秘書にしたと思うよ」
「えっ」恵はなぜか嬉しく顔を綻ばせた。
「今日は優くんって呼んでくれないと~」甘えた声で田畑は拗ねる。
「…」
最初のコメントを投稿しよう!