慰安旅行

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陸は棚から自分と恵のバッグを下ろす。 「ありがとう」恵はお礼を言って手を伸ばした。 「持つよ」陸は微笑む。 「いいよっ」恵はびっくりしながらバッグを取ろうとするが、陸は軽々と持ち上げ恵の手から届かない所まで離した。 「大丈夫」陸は優しく微笑む。 「僕のはっ」田畑が口を尖らせた。 陸はバッグを三つ持って電車を降りる。 「どうして皆、アイドルの事知ってたのかな…」改札口に向かって歩きながら恵は腑に落ちない顔で呟いた。 「そりゃあ恵が可愛いから男の子達は話をするでしょ」隣を歩くさくらが笑って答える。 「嘘っ」 「私達だって人気のある男の子の話をしていたでしょう。同じように男の子達だってするよ」 「そうじゃなくって、さくらならともかく私は可愛くないよ」 「恵ちゃんは可愛いよ」さくらの反対側にいる陸が言う。 「!!」 「それに社長だって、きっと恵ちゃんの事が可愛くて秘書にしたと思うよ」 「えっ」恵はなぜか嬉しく顔を綻ばせた。 「今日は優くんって呼んでくれないと~」甘えた声で田畑は拗ねる。 「…」
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