慰安旅行

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「海は知ってるの?」隣にいる陸が尋ねる。 「言う訳ないよ、駄目って言うもん」そう言いながら和香は悪戯っ子のように笑った。 海を怒らす事を楽しんでさえいるようだ。そんな和香の行動と性格を恵は自分だったらと想像すると一人悪寒を感じてぶるっと震える。 「あ~!!もしかして社長でしょっ!?」そんな恵に気づく事無く和香は突然田畑を指さした。 陸にくっつくようにいる田畑の前にまで行くとぐるぐる回る。田畑もまじまじと回る和香を見つめていた。その目は珍しい宝石でも見つけたように輝いている。 「恵ちゃんから聞いてるよ。会いたかったんだ~」 「君、どこかでモデルやってるの?」 「思っていた通りの人なんだね」 「もしまだだったらうちの会社の専属になる気はないかいっ?」 「男っぽくないんだね」 「その服はどこで?そんな形の服をよくそこまで上手く着こなしてるんだね」 話は全く噛み合っていないが、二人は妙に急接近し合っている。
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