慰安旅行

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ホテルは東京から二時間で着く、太平洋が一望できる高台にある場所だった。 下に降りればホテルが所有するプライベートビーチがあり、さまざまなマリンスポーツができる設備も用意されている。 社員達は食事やエステを含むホテルとビーチにある施設の利用が全て無料だった。 日頃忙しく大変な思いをしている社員の為に労いと感謝、田畑の我儘に対する謝罪を込めた旅行だった。 豪華なシャンデリアが飾られている淡いオレンジマーブル大理石のホテルロビーで、全員が施設や部屋割りの説明を受けると夕食まで自由時間なので各々が部屋に向かう。 「…もちろん、さっきの領収書分で全て込みなんだよね?」田畑は恐る恐る西条に尋ねた。 「まさか、別に決まってるだろ。帰りに清算だって」西条はあっさり否定する。 「…」 一方陸は海に電話をしていた。側には恵、さくらと和香がいる。しばらく待っていたが喋る事無く電話を切った。
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