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「わあ、すごいっ」恵は思わず声を上げる。
小さいが海が見えるベランダのついた部屋で、ベッドは金刺繍のキルト生地に皺一つない真っ白なシーツが掛けられていた。
インテリアも柔らかい木を使われており、部屋にいるだけでも十分寛げそうだった。
恵はベランダに出て景色を眺めた後、楽しそうにバスルームを覗く。
「すご~い、洗面台広いよっ。ちゃんとしたシャンプーや化粧水があるっ。わっ、浴衣にバスルームまであるよっ!あっ、待ち合わせしてるんだからこんな事してちゃ駄目だよねっ」
一人で勝手に騒ぐだけ騒ぐとバスルームから出てベッドの前に置いたバッグを持ち上げる。
「ほんとによかった、いい所で。社長が男の子達を呼ぶために大げさに言ったかもしれないって不安だったんだ―、…あれ?」
恵は興奮してペラペラと一人で喋り続けていたが、ようやく返事がない事に気づきさくらを見る。
さくらは籐の背もたれでできた椅子に腰かけ前をぼうっと見つめていた。
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