慰安旅行

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一方、恵は心の中でむくれていたが、二人の体型のよさは自分のとは余りに違うので文句を言える訳も無く、溜息をつくと服を畳んで日焼け止めクリームをバッグから取り出した。 「私が塗ってあげようか?」和香が横に来る。 「えっ、でも手袋してますよ」 「これ手のとこだけ取れるんだ」そう言って和香は手首から先の部分を外した。 「じゃあ背中をお願いしていいですか」 「うんっ」 恵はデッキチェアに腰掛けると和香と自分の手に日焼け止めクリームをつけて体に薄く塗る。 「恵ちゃんの背中つるつるだね」 「そうですか?」 「ね、恵ちゃん」和香は手を恵の肩にあてると唇を恵の耳元に寄せた。「私、さっき恵ちゃんと同じホテルの部屋を自分で取ったんだけよ」 「そうですか」 「まだ行ってないけど、いい部屋なんだって」 「…」恵は言葉にしないで頷く。 「陸とそこ使う?」
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