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そこから何がどうなったのかは詳しく覚えていないのだけれど、むかむかした私は「お父さんは私よりたぬきの事が好きなんだ」と怒鳴りたぬきを蹴とばして、結局お父さんに思い切り叩かれたのだった。
それからたぬきは他の刀と同じように書斎に飾られて、お父さんをご飯に呼ぶ私の視界にいつも飛び込んできた。
博物館で本物の「どうたぬき」を見た時、お父さんはもし私が男の子に生まれたならたぬきを私にプレゼントするつもりだったと言った。お母さんと私は呆れ返って何も言えず、そのまま刀に見とれているお父さんを置いて喫茶店で時間を潰した。
その夜私は自分がたぬきを振り回してばったばったと敵を倒してゆく夢を見た。夢の中ではたぬきは私の無二の相棒でいつもその切れ味と頑丈さに助けられるのだった。
その夢は予知夢だったのかもしれない。
しばらくしてお父さんが心臓の病気で倒れて、そのまま目覚めなくなって以来、たぬきはずっと私の傍にいる。
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