始まりのはじまり

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「この村を…世界を、あの悪しき魔物から守って下され!!」 白い髭を生やした、いかにも村長らしい村長が俺に言った。 「魔王は隣町に居る。頼んだぞ」 近いぞ魔王…。城に帰れ。 そんなことよりも…だ。 「村長…俺には無理です。」 だって俺はただの一般人! 母さんは主婦、父さんはサラリーマン。そんな絵に描いたような普通さを持っている。 そんな俺が村の外に出てみろ。 魔王にたどり着く前にスライムに飲まれて窒息死だ。 その前にスライム…でるのか? 「何を言っておる。世界の命運はお前にかかっているんだぞ?」 「村長。たまたま村長ん家の窓ガラス割った程度で、勝手に勇者に仕立て上げないで下さい」 そう、俺はただ子供たちと野球をしていただけだ。 つい本気になってホームランを打ち、その時の球が村長の家の窓ガラスを一撃粉砕。 某日曜日夕方アニメ、サザ●さんのカツオ君がおこしたような出来事だ。 説教をされに来たんだよ俺は! 勇者は他の人に頼みなさい!! 「何を言っておる。世界の命運はお前にかかっているんだぞ?」 「ちょっと!!村長!?」 それさっき言ったよ?! ボケなの?それとも大事な事だから二回言ったのかな!? 「何を言っておる。世界の命運はお前にかかっているんだぞ?」 …会話を飛ばそうとAボタンを連打して、また同じ会話を聞く羽目になった小学生の気分だ どうやら、イベント発生まで同じ会話のようだ。 てか この村長、もうただのゲームの中の人じゃないか。同じセリフ3回も言いやがって…。 なんだかんだで俺は勇者にされた。 19才の初夏。 残念ながら俺の冒険は始まった
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