4人が本棚に入れています
本棚に追加
「この村を…世界を、あの悪しき魔物から守って下され!!」
白い髭を生やした、いかにも村長らしい村長が俺に言った。
「魔王は隣町に居る。頼んだぞ」
近いぞ魔王…。城に帰れ。
そんなことよりも…だ。
「村長…俺には無理です。」
だって俺はただの一般人!
母さんは主婦、父さんはサラリーマン。そんな絵に描いたような普通さを持っている。
そんな俺が村の外に出てみろ。
魔王にたどり着く前にスライムに飲まれて窒息死だ。
その前にスライム…でるのか?
「何を言っておる。世界の命運はお前にかかっているんだぞ?」
「村長。たまたま村長ん家の窓ガラス割った程度で、勝手に勇者に仕立て上げないで下さい」
そう、俺はただ子供たちと野球をしていただけだ。
つい本気になってホームランを打ち、その時の球が村長の家の窓ガラスを一撃粉砕。
某日曜日夕方アニメ、サザ●さんのカツオ君がおこしたような出来事だ。
説教をされに来たんだよ俺は!
勇者は他の人に頼みなさい!!
「何を言っておる。世界の命運はお前にかかっているんだぞ?」
「ちょっと!!村長!?」
それさっき言ったよ?!
ボケなの?それとも大事な事だから二回言ったのかな!?
「何を言っておる。世界の命運はお前にかかっているんだぞ?」
…会話を飛ばそうとAボタンを連打して、また同じ会話を聞く羽目になった小学生の気分だ
どうやら、イベント発生まで同じ会話のようだ。
てか
この村長、もうただのゲームの中の人じゃないか。同じセリフ3回も言いやがって…。
なんだかんだで俺は勇者にされた。
19才の初夏。
残念ながら俺の冒険は始まった
最初のコメントを投稿しよう!