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やっと、こえ、でて せい、をさがす。 「…せえ…っ…」 「…っ、」 「……っ…」 ことば、でなくて。 せえに、だきしめられて、 ふわり、また、あまいかおり。 せいの、かお、り。 「…ごめん…」 「……すてな、いで…」 「…え…?」 「……おいら、を…っ すて、ない……で…くだ…さ、い……」 「…っ、」 はなれないで すてないで これだけ、だから わがまま、 「…う、しお…」 「……っ、っく…ひっく…っ」 「…泣かな、いで……っ」 「…せ…え…っ…」 「…捨てないから…っ」 せい、せい、せい おいらは、せいをまえにすると、おかしくなる。 むねが、 いたくなったり、 はげしくなったり しめつけられたり、する。 はじめて、だから わかんなくて、こわくて、こわくて 「…せ…だけ…」 きこえないで、というおもいをかくして、つぶやいた。 .
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