215人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
京さんが帰ってこなくなったのは、今日から3日前の火曜日。
「ほな、行って来るな」
「お仕事頑張ってくださいね!」
たまたまオフだったから、いつも通りに京さんを家から送り出した。
「!!…きょーさん、」
「ん、どしたん?」
「ちゅーして、ください…」
目を細めてフッと笑った顔は、いつも通りで何一つ変わりはなかった。
「ほんまうちの子は、甘えたやなぁ」
チュッというリップ音と共に香った香水の香り。
少しかさついた京さんの唇と俺の唇が軽く触れて、名残惜しくも離れていく。
「んふ、大好きです」
「はいはい、ほな行くわな」
「いってらっしゃい」
片手を上げた京さんに、ニコリと笑って手を振り返した。
京さんを見たのは、これが最後。
なにも感じなかったし、いつも通りだった京さんに何かあったのか。
事故?
それならきっと薫さんが連絡くれるはず。
浮気?
飲み会の話も繋がりの話も最近は、ネットでさえ見ない。
仕事?
それなら連絡が入る、よな。
京さん、どこで何してんの?
心配で胃が痛む。
最初のコメントを投稿しよう!