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「お疲れさまでした!!」
かれこれ、筋トレやら、ノックやらやってるうちに日は暮れて、練習が終わりの時間になっていた。
一年生の俺は、他の一年生と混じりながら、バットやらの片付け、グラウンドの整備など、色々と後始末があり、中々、帰宅にはつけない。
「お疲れ。今日はまた上達したな。」
ニコニコしながら、坂木先輩はグラウンドを後にした。
実はこの学校、つくし葉学園といって、県内でも有名な野球強豪校なのだ。甲子園に出場したことはないけれど、必ず、県のベスト4に名を連ねといる。
【無冠の王者】。甲子園出場圏内でありながら、出場を逃しているこの学校に皮肉を込めた通り名だ。
たぶん、一年生だけでも、百人はいるだろう。
なんで、俺なんかに目をつけたんだろう?
「うむ。今日もよいプレーを見せていただいたぞ。」
満足そうな顔をしながら、グランドの整備中の俺に話しかけるあびる。
「そりゃ、どうも。」
あんなお粗末なピッチングのどこが“いいプレー”なのか、わからんけども。
人が物思いにふけっているのに、相変わらずの空気の読めない人だ。
だけど、それがなきゃ、あびるではないのだ。
「だが、日々の努力を怠るなよ!」
「わかってるよ。」
そんなことわかりきっていること言われてもなぁ。
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