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そんなこんなで、帰路に着こうと、野球道具一式が入ったカバンを持つ。
ズッシリと肩に重さが伝わり、またため息をついてしまった。
「疲れたのか?」
更衣室のドアを開けた瞬間、すぐ隣にあびるがいて、壁にもたれ掛かっていた。
「んにゃぁ、ただ、荷物、思ったより重くてさ。ちょっと、息が漏れたんだよ…。」
「!?」あびるが驚いた表情を作ると、俺の荷物を奪うように剥ぎ取り、背負う。
「貴様はピッチャーとしての認識がたりん!利き腕に、こんな重い荷物を背負うなど自殺行為だぞ!?」
ビックリするほどの剣幕で俺を怒鳴り付けるのをみると、何があっても動じず、堂々と構えるこいつとは別人のようだ。
「き、気を付けるよ。これからは。」
思わず、圧倒されて少しびびる。
相手は不良三人を、熱湯を注いで三分待機のインスタントカップラーメンより早く、フルボッコにできるほどの強さの持ち主だ。
ある意味、びびるのは当然な気がする…たかが、同い年の少女にびびる俺って情けないな。
「ってか、ずっと気になってたんだけどさ。」
「なんだ?」
「俺のプレーのどこが美しいんだ?」
中学のころから気になっていたことだ。
正直に答えてほしい。
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