日々の日常と、努力と。

12/13
前へ
/74ページ
次へ
そんなこんなで、帰路に着こうと、野球道具一式が入ったカバンを持つ。 ズッシリと肩に重さが伝わり、またため息をついてしまった。 「疲れたのか?」 更衣室のドアを開けた瞬間、すぐ隣にあびるがいて、壁にもたれ掛かっていた。 「んにゃぁ、ただ、荷物、思ったより重くてさ。ちょっと、息が漏れたんだよ…。」 「!?」あびるが驚いた表情を作ると、俺の荷物を奪うように剥ぎ取り、背負う。 「貴様はピッチャーとしての認識がたりん!利き腕に、こんな重い荷物を背負うなど自殺行為だぞ!?」 ビックリするほどの剣幕で俺を怒鳴り付けるのをみると、何があっても動じず、堂々と構えるこいつとは別人のようだ。 「き、気を付けるよ。これからは。」 思わず、圧倒されて少しびびる。 相手は不良三人を、熱湯を注いで三分待機のインスタントカップラーメンより早く、フルボッコにできるほどの強さの持ち主だ。 ある意味、びびるのは当然な気がする…たかが、同い年の少女にびびる俺って情けないな。 「ってか、ずっと気になってたんだけどさ。」 「なんだ?」 「俺のプレーのどこが美しいんだ?」 中学のころから気になっていたことだ。 正直に答えてほしい。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加