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「そんなこともわからんのか?」
あびるは、あきれた声とは、こういうのを言うのかというくらいに、ため息混じりに言葉を吐き出す。
「そぉだろ!万年補欠の俺のどこが美しいのかわかんねぇって!!」
ビックリするほど、情けないほど大きい声で、あびるに疑問と不満を殴り付けた。
どうしようもないな。止められない。
「……。」
あびるは、少し驚いた顔をしたが、いつもの無表情に戻り、小さい声だが、俺の耳にはっきり聞こえる声で
「…そうか。わからないか。なら、考えるのもまたよし。私は答えを貴様に求めていない。それが、私から出せる最大のヒントだ。」
といたずらっぽく、だけど、真面目に言った。
答えは安易に教えません。ってことか…あびるらしい、厳しさだ。
そのあとは、男子寮の入り口まで、あびるも俺も黙ったままだった。
だけど、その沈黙は苦痛ではなく、とても心地いいものだった。
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