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俺の目の前はただ赤かった。
炎の色。血の色。
空すら赤く染まっていて、漠然と喪失感が、俺の体を脱力させる原因になっている。
全て失った。
愛しい人。家族。仲間…。
俺の大切だと思える人間は、この小さい研究所の中にしかなかった。
「あははっ!きぃんもちいい!!」
俺の呆然とする姿をあざけ笑うような声が狭い空間に広がる。
「マシュぅ…。貴様ぁ!!」
俺の大事なもの、全て奪ったものが、眼前にいる。
もはや、憎む対象と成り果てたそれは、歓喜の表情を張り付けたような仮面をしていた。
その仮面は赤い血をすい、とても不気味に笑っている。
「やだなぁ。マシューなんて、人間だった頃のダサい名前で呼ぶのはやめてよ。」
その変わり果てた人ならざる姿をした物体から、聞きなれた声を放つ。
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