日々の日常と、努力と。

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あびるとの出会いは、一年前に遡る。 当時、中学生だった俺の前に、颯爽と現れ、 「貴様のプレーする姿は美しい。今後、貴様が、そのプレーを持続するために最善策を与えてやる」 と言い残し、さっさと去っていた。 ちなみに、そのとき、学校の男子トイレで用を足しているときだった。 まさに、衝撃的で、冗談みたいな出会いですよ。まさに。 思春期の男子中学生の用を足す姿を、恥ずかしいとかの感情なしに、あんな宣言をされるとか、どんだけ斬新ですか。 その日、ブラックホール並みの黒い負のエネルギーを放つほど落ち込んだ。 その翌日。 「百川 あびるだ。この度は雪走 大輔のプレーを一つでも多く見たくて、転校してきたものだ。」 朝のクラス会で、担任に紹介され、自己紹介したあびるの名言は、卒業した今でも名言(迷言)として、語り継がれているらしい。 そのときの驚きといったら、なんとも例えようがない。 ただ一時間は口が空いたまま石化していたのを覚えている。
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