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『――住み着き妖精、セトルリン! あなたのお家に留学生を迎えませんか? お世話の必要は一切ありません!!――』
「ふぅーん。セトルリン、ねぇ…」
ソファにごろん、と寝転がったまま手中のチラシに目を向ける猫耳、猫尻尾の少年――言わずもがな、ボク、ファントムはチラシに描かれた留学生……えっと、セトルリン、とかいう妖精のイラストをまじまじと見つめる。なんというか……
「妖精っぽさ、ゼロじゃん」
ボクはもっと、こう、緑の服に身を包んだピで始まる男と一緒に行動している妖精とか、こう、右手にルーンが刻まれてる少年――ってあれは妖精じゃなくて使い魔なんだっけ。かと思っていたのに。
「でも、まぁ、当たるかどうか分からないもんな」
チラシを読むに、応募したからと言って当たるわけでもなさそうだ。
「まぁ、……とりあえず応募してみるかな」
あとで後悔するのもヤダし。交流が難しそうなら適当に過ごしてもらえばいいのだし。
うん、そうしよう。
「えっと、留学センターのホームページは……っと」
ガバッと起き上がるや否や傍らのパソコンを立ち上げる。そういや、掲載用のアルマ、書いてないや……
***
そして数日後。ファントム宅。ボクは留学センターの職員と共にやってきた留学生とご対面していた。
「――えっと、今日からお世話になります、クルンテープ・マハーナコー」
「……」
神様、ボクの運返せ。なんでこんな時に限って当たるのか。
もうテンションダダ下がりのボクは長ったらしい名前(?)を名乗ってる住み着き妖精に愛想笑いを浮かべるしかなかった。
「それでは、何かありましたらこちらへご連絡くださいね」
そう言って担当の黒髪男性、マキさんは連絡先の記された紙を差し出して飄々と立ち去っていくのだった。
「え、えっと、よろしくね?」
「はいっ!よろしくお願いします!」
……さて、どうやってやり過ごそうか。すでに諦め気味のボクなのでした。
★続く? 続くよ!
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