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狂おしい欲望となり僕を渦巻きあの仄暗い世界へと誘う水先案内人、僕を魅了して止まぬ死神_僕等の愛は破滅に近似されますが互いに此の醜さで肥大した世界には永らくは生きたくないと云うのが僕等の渇望であります。
偽善と独善が闊歩して居ます_嗚呼、さて真実は何処に。その定義も曖昧で僕は空の碧さにすら感傷的になり最早僕と幽妃の創り上げる歪で邪な世界でしか呼吸をして幾ばくの光合成をし、愛とか云う名前で名付けられた陳腐な行為を散々賞味出来ません_幽妃は賞味期限とか云う表現を使用しましたが僕はその表現には甚だ同意しかねますと云うのも、あの不気味に平面的な外空間の評価なんぞ僕には無価値、どころか何の効力も持たぬので僕等は僕等の狂気が赤々と咲き誇って居る此の世界に殉死したいのです。
「暁、何時になったら貴方はその自分の美学とやらを披露してくれるのかしら。
私が此の汚い薬物に侵されて仕舞う前に、早く_」
肌を重ねて愛を確かめ合っても彼女には何の至福感も齎さない様で、僕の横で只死を哀願する言葉を切々と訴える、だがその表情が酷く愛おしくて彼女の白くて華奢な手に接吻し_
「僕の命を捧げます。」
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