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生命なんて怠惰に零れ落ちてヘッドライトが照らす此の夜道に散った美しい塵となってまるで僕等が目指す儚くも眩しい世界を表象するかの様でした_嗚呼、暗闇を照らす光の筋が綺麗です。
隣の幽妃は微かに蒸気させた頬に微笑みを浮かべながらその情景を嬉々として眺めて居ました、そしてその表情に更なる愛情を刻々と日々刻み込むのです、此の一瞬にも幽妃を愛さなかったと後悔する事が決して無い様に。
繊細且つ強靭な愛。
理想且つ腐敗な愛。
混沌且つ純潔な愛。
愛。愛。愛。
僕等には其れしか無いのです_刹那に焼き付けたいのです、僕等の互いに対する正常にして異常な迄の執着癖を。
「外は、暑いのかしら寒いのかしら。」
幽妃が独り言の様に口にした言葉も聞き漏らさず僕は車のラヂオの音量を調節して暫し耳を傾け様としましたが彼女が阻止します。
「止めて。
五月蝿いわ。」
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