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side*O 嵐のような雨が降る朝は、あの日を思い出してしまう。 ひーくんが、人前で泣いた最後の日。 打ちつける雨の中、横たわるアノヒトを抱きかかえてうずくまる彼。 声も出さず、涙を流し続けるひーくんの震える背中を、見つめるしかできなくて。 あんなふうに、弱々しく消えてしまいそうな彼を見たのは初めてだった。 けど、雨が止む頃には そんな儚さは微塵もなくなってて。 深い悲しみと氷のように冷たい狂気を湛えた、そんな瞳をしてた。 でも、そんなひーくんは怖いくらい綺麗で。 味方であるハズの仲間にさえ心を閉ざす彼を、守れるのはぉれだけだって、絶対味方でいようって決めたあの日。
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