レモンイエローとビリジアン

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レモンイエローとビリジアン

 レパートリーは何ひとつ  持ってはいないけど  おもむろに冷蔵庫あけて  卵の配列を見てる    母さんが作ってくれた  ハムエッグを作ろうか  湯気までそっくりに出来れば  一分目を満たせるかな?      ホワイトボードの  文字が揺れてる  苦手な漢字とか  真似して書いてみた      19時のその次は20時が来る  帰りは今日はこれくらい  寂しさなんか、もうない    おもしろそうな  バラエティーで  夜を過ごす  ため息ついた、その時点で  「負け」なんだと思った            ゆうべ頼んでいた絵の具  買って来てくれるかな  名前の珍しさだけで  使いまくったビリジアン    砂消しじゃない消しゴムと  透明の定規と  色違い大学ノートは  道草通りで揃えた      お気に入りシャツの  シワが消えてる  ちょっぴり色あせた  首元、気になった      カチャカチャ鳴る玄関の  ドアまで走る  「おかえり」のそのついでに  出た言葉はあのビリジアン    失敗するって知ってたから  作らなかった  ハラペコ同志、お手伝い  「好き」なんだと思った      その日からホカホカごはん  炊けるようにと  研ぎ方や水加減  真剣にインプットをして    その日からレモンイエローも  使えるようにと  ふたつ並んだ絵の具へと  背中へと誓った
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