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 白線の内側に下がって  どんより雲を眺めていた    心の整理が  まだつかぬうちに  線路のきしみが  胸を焦らせる      文庫本の栞をつまめば  思い出と一緒にあなたが降る    二人でのぞいた  夕暮れの街に  幸せの照明(つぶ)が  ちりばめられてゆく      あのページから先に進めない  未来がこんなに苦しいなんて…  夜の静寂(しじま)が  大好きだった  言葉の全てが宝物だった       どうして私は…  生きてるんだろう    どうして私は…  おびえてるんだろう    あなたに  その答えを聞くために    ゆっくりと開いてゆく  栞をつまんで
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