3人が本棚に入れています
本棚に追加
──あたしはたった今、フラレマシタ。
『ごめん。篠崎のこと、そういう風には見れないんだ』
はは、もう少し違う言い方してくださいよ、先輩。
まあ、ここまで言われたら諦めるしかないんだけどね。
放課後の体育館裏。
いっそ不良のようにタバコを吸ってしまいたい今日この頃。
ベッタベタなのは分かってたけど、恋愛初心者のワタクシめには“少女漫画”のような“ここ”しか思いつかなかったわけで。
ちくしょう。
やけ酒もしたいわ、ちくしょう。
壁に背中を預けて、スカートなんか気にしないでしゃがみこむ。
ふーっと息を吐く。
暑いなー、まったく。
まだ5月も始まったばっかだってのに。
雑草は青々としてるし。
夏ですかー、コンニャロウ。
誰もいない。
聞こえてくるのは体育館で部活するバスケ部だったり、校庭で走る野球部の掛け声などなど。
あーあ。
今日は頑張ったのにな。
初めて巻いた、日に焼けた黒髪。
校則に引っ掛かんない程度だけど、一生懸命やった化粧。
いつもより二回も多く折ったスカート。
それもこれも、先輩に少しでも見てもらうためだったのにな。
それも玉砕。
完膚なきまでにやられましたよ。
「んー?」
聞こえてきたのはアップテンポのラブソング。
ちくしょう。
携帯までもがあたしを惨めにすんのか。
この曲はアイツの設定。
ちくしょう。
キサマが惨めにすんのか。
開けば何のことはないただのメール。
『今日はカラオケじゃなかったかー。テメェ……忘れてんだろ』
イエス。
忘れてました。
最初のコメントを投稿しよう!