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改札を通ると、ただ一面にすすきが揺れているだけだった。
「…」
この道を昼間に見るのは初めてかもしれない。
凜は、すすきの中の浅い獣道を辿って行く。
しばらく歩くと、夏川わんぱくセンターに着く。
凜は、その佇まいに唖然とした。
門は赤黒く錆び付き、壁には蔦が蔓延っていた。
雑草が伸び放題の中庭を通り、薄暗い門を叩く。
ドアが開かれた。
「凜ちゃん…」
痩せ細った川村さんが出て来る。
川村さんはそっと凜を抱きしめて、中へ招き入れる。
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