幼少期

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我が輩は「犬」である。 名前はまぁ伏せておく。何やら暗がりの中で「びゃーびゃー」泣いているのを覚えている。 この記憶にはいつも骨ばったすね毛だらけの足が一緒に出てくる けして太くない父親の足はいつも私を蹴飛ばした。 父親とは言えども血は繋がっていない。 後に知らされた事だけれど 両親が結婚後、父親が他に家庭を作って家を出て、その間に母親が浮気をした。 そして生まれたのが私だという訳だ。 ただ、少しややこしい話だけども戸籍の上では父親は父親で母親は母親なので他から見ればよくある家庭だった。 よくある家庭と言っても父親はあまり帰ってこなかった。 だって他にも家庭があるんですもの。 そして、たまに帰ってきたら冒頭の様な出来事が起こるという訳であった。 何やら暗がりで「びゃーびゃー」泣いている頃、私は一人だった。 一人だったという事は弟が生まれて無いから3歳になっていない時分の話だろう。 いや…そんな事は無いな。 弟が生まれてからは弟はキチンと可愛がられ、俺は虐げられていたのも覚えてる。 つまりは血の繋がりの差だったんだと思う。 まぁ思い出す程位にしか父親は帰ってこなかったって話。 そんな父親と母親の家庭なのに弟は生まれてくるんだから開いた口も塞がらない。 ましてや妹までも生まれてくるんだから笑けてきますよ。 しかし、娘というのはやはり可愛いらしく、妹が生まれてからは父親は頻繁に帰ってくる様になったのだが、まぁこれは後々のお話。
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