第一夜 人にまつわる13の話

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「隠れ鬼」 ここでは鬼が隠れるんだよ。と友人の子どもが言った。 鬼一人に何人もが探すのだという。 「変わった遊びだな」と友人にいうと、 「昔ここに異人。今でいう外国人が逃げ込んだ事があるらしい。昔の物語だから嘘かほんとかわからない。言葉も通じない赤い毛の男を鬼だといって撲殺したんだよ。その時の話が隠れ鬼の話になって子どもが遊びにしたらしい。叔父の話だがね。聞いたときはショックだったよ」と彼は言った。 「隠れ鬼は自由に隠れ家を変えてもいい。見つかったら尻を叩かれる。最近じゃやらないね」と彼はまた続けた。 それはそうであろう。遊びとはいえ、今の御時世本当に叩けば親から文句がでる。 ある日彼が鬼になっているとき。あまりに見つからず友達は勝手に辞めてしまった。 そのときは彼は小さな祠の鍵を壊してその中にいた。 するともう一人隠れているものがいる。 その人は頭が真っ赤だった。 髪が赤いのではない。顔を彼に向けたとき顔中血で染まっていた。 驚いた彼は祠から出て近くの叔父の家に飛び込み、祠の鍵を壊した事を怒られた挙げ句、その話を聞いたのだという。
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