第二夜 物にまつわる11の話

3/12
634人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
「新聞紙」 ほら、死亡記事ってよく書いてあるだろ。俺アレの担当なんだ。と高橋くんが言った。高橋くんとは大学生の頃からの友達で、大学時代に同じサークルに入っていた。 彼が言うには、 「たまにあれ嫌な事があるんだよ」 「しゃべるんだよ。新聞紙が。うめくような声で読み上げるんだ。夜一人でいるとよく聞く」 「また、嘘だろ」 「俺の前の担当も聞いている。でいやになって辞めて俺におはちが回って来たんだよ」 「嫌だろ」というと。「たまにあの声が頭についてな。でももうなれた」という。 私なら慣れたくはない。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!