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「首女」
よく聞くはなしでもある。怪奇談としてはありふれている部類だろう。
私の友人が先日見合いをした。
同い年だから四十は越えている。
見合いの席で暫く話をし、相手側と自分の付き添いがトイレへいくとさっと三人いなくなったという。
そこに襖が開いて見知らぬ女が入ってきた。友人が驚くのも構わずその女はおじきをした。すると首が落ちて彼に向かってよろしくと言ったという。首のない胴体はその首をもって外に出てしまった。トイレに言った三人が入れ替わりに入った。何故かトイレにいきたくなりトイレに行くと嘘のように尿意は引っ込んだという。
「今ですね」と青ざめた顔で首の落ちた女の話をした。
相手方はこんな席でと怒って帰ってしまった。
「絶対みたんだよ。首が落ちてよろしくと言ったんだ」
彼は私に真剣に訴えた。
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