歌詞の世界

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後にアリプロは真下と『.hack//Roots』で再会する。この時は、いくつかの歌を始め、作中の曲の全てを作った。そしてその歌は間違いなく、彼らのレパートリーの中で最も成功したものだ。「亡國覚醒カタルシス」は、声は鋭いが、メロディーはとても甘い調子である。しかしながら歌詞はとても残酷だ。  アリカは「白堊病棟」を、入院している主人公のことを考えながら書いた。こちらは全く動けない状態の病気と闘う、というものである。彼女はこの歌を頭に包帯を巻きながら歌った。  他の曲には、いくつかのオペラの影響も見える。「King Knight」は特にその軍隊的精神においてプロコフィエフ(※1)の『ロメオとジュリエット』に影響されている。『.hack//G.U. Returner』の「God Diva(※2)」は繰り返す音楽と自然な歌詞の中にモーツァルトの『魔笛』を思い起こさせる。  大御所がそれが彼らのレベルなのだと見なす、その政治参加的な側面にも注目できるだろう。例えば、「汚れなき悪意」は、夜のニュースを視聴した後に書かれた。このマキャベリズムについての歌は鳥肌もので、日本人のことを考える気にさせる。  訳者注 ※1プロコフィエフ(Prokofiev):ロシアの作曲家・ピアニスト・指揮者(1891-1953)。「ロメオ」は「ロミオ」のフランス語読み。 ※2「God Diva」:初出は『.hack//Roots』の挿入歌。
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