125人が本棚に入れています
本棚に追加
「兄さん! 兄さん起きなよ! 学校遅刻しちゃうよ!」
おかしい…何かがおかしかった。
聴こえてはいけないような…けど、その声は懐かしさを思い出させる声だった。
「羽衣なのか…?」
「あれ…? あれれっ!? 何で!? どうして!?」
とても困惑しているような顔を俺に向けている。まるで見えてはいけないものが見えてしまった気分なのか。
いや、それは逆か。
脳が覚醒し、ようやく考えがまとまる。
この子は俺の義妹、音野羽衣だ
…ってそんなことはどうでもいいんだよ…、いや俺にとってはどうでもよくはないが…。
羽衣がいる…これは現実か?
でも羽衣は…今、目の前にいるんだ。羽衣は死んだ筈なのにここにいる。
──俺の目の前に。
つまりはこう。
─幽霊だ。
最初のコメントを投稿しよう!