12人が本棚に入れています
本棚に追加
「なら村人は大事にならん内に地下祭具殿に避難するいうこっちゃな」
「ええ、流石に親族も含めた村人全員が避難する事は難しいでしょうが、実際に雛見沢に住んでる人だけならなんとかいけると思います」
「戦争が始まるっちゅうなら食料と水の確保が重要じゃけん。そこんところは大丈夫なんかいや魅音ちゃん」
公由喜一郎が村人代表としてもっともな意見を述べる。それに対して私は毅然とした態度で答えた。
「食料と水の確保は既に園崎家の方で手配してありますので心配は入りません。今もっとも懸念すべき事はこの事実を如何にして村人に伝えるかという事です」
「流石魅音ちゃんじゃな、手配が早い。確かに村人への伝え方を間違えたら混乱が起こるかもしれんゆう魅音ちゃんの懸念もわかるが、村人にその程度でパニックを起こす臆病者はおらんと儂はおもっちょる」
村長にそう言われて私はハッとする。
――そうだ! 私達は五年前の時だって雛見沢が滅びるかもしれないピンチの時村人全員で一致団結して戦ったじゃないか!
その時に誰かはパニックを起こして自暴自棄になったりした人がいたか? いやいなかった。そんな人は一人としていなかった。
なら……。
「分かりました。では本日中に村人全員が避難できるように各自情報の伝達をお願いします」
そう言って会議を終えようとした時、篠田さんが声をあげた。
「いくらなんでも今日中に連絡を回しきるというのは厳しい思いますんですが……」
「篠田さん。状況は一刻を争います。いつこの雛見沢に中国軍が攻めてくるのかわからないんです。ですから今日中に避難を終えようと思います。無理でも厳しくてもやってください! 今この時点での妥協が最悪死者を出してしまう事にも繋がりかねないんですから」
「すまんかった。儂は状況をしっかり理解できていなかったようだ。すぐに村人に知らせます」
これで御三家及び雛見沢の中枢を担う重鎮たちの話し合いは終わった。
最初のコメントを投稿しよう!